ガット研究の動向と問題点 5
同時に先にみたようなガットについての研究状況をふまえた場合、そうしたガットと農業の特殊性に立ち入るに先立って、ガットそのものについての概括的な分析を行なっておくことが不可欠です。
そうしたガットの基本的性格そのメカニズムと限界についての一般的認識をふまえることによって、その農業問題に対する特殊な関連のあり方もはじめて十分に理解することが可能となるでしょう。
そうした点からいって、さしあたり以下での分析視点として設定されねばならないのは次の諸点です。
第一に、ガットとは何かという、ガットの基本的仕組み・システムについての問題です。
後にくわしくみるように、形式的にみればガットは国際条約(国際協定)、国際交渉の場、国際機関(国際機構)という三つの性格をあわせもつ多面的な組織です。石塚孝一氏によると、同時にこの三つの側面はいずれもそれ自体としてはきわめて不完全・不徹底であるという特徴をもつのです。
ガットは不完全な国際条約、不完全な国際交渉の場、不完全な国際機関の統合体なのです。