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2010年10月 アーカイブ

ガット研究の動向と問題点 7

それらは一部はガット枠内の明示的な例外措置として、他の一部はガット枠外のいわゆる灰色措置として数多く存在しています。


ガットの外見的な理念主義は、実はこうした内部的な現実主義によって支えられてきたのです。


第三に、ガットにおける農業の特殊な位置づけについてです。


ガットの現実主義がもっとも鮮明に示されているのが農産物の取扱いにおいてでした。


ガット発足当初より農産物については輸出奨励金、余剰農産物の処理、輸入数量の制限などの原則に背馳する措置が一定条件の下で認められており、その点では一般工業製品とは別扱いとなっていました。


農産物は自由貿易原則にはなじまないというのが、ガットの当初からの基本認識だったのです。


その背後には、当時アメリカが大々的に余剰農産物の輸出を行なっていたという事情もさることながら、各国とも国内に複雑な農業問題をかかえ、多様な農業保護政策を展開していたという事実がありました。


それを無視して形式的に自由貿易原理で押しつけてみても実効があがらないばかりか、ガットからの離反を招くばかりであるというのがガットの判断であったのでしょう。


そうした事情は現在でも強められこそすれ、いっこうに弱まっていないといっていいです。


とするならば、現時点において農業保護の全廃、農産物の完全自由化といった19世紀の自由貿易論を彷彿させる議論が改めてガットの場で議論される理由は一体どこにあるのでしょうか。

ガット研究の動向と問題点 8

完全自由化論は、どのような国々のどのような経済的利害にもとづくものであり、またどれだけの客観的な可能性をもちうるのでしょうか。


第四に、以上の点はガット体制の歴史的展開と70年代以降におけるいわゆるガットの空洞化傾向をふまえた場合、とくに重要とならざるをえません。


周知のように第二次大戦後の世界貿易は60年代の安定成長期を経た後、70年代にははげしい構造変化の時代を迎えています。


国際収支の不均衡の拡大、変動相場制への移行による為替レートの不安定、累積債務問題に象徴される南北問題の激化、EC・米加自由貿易協定などにみられる地域主義の台頭など、従来の国際経済秩序を根底から揺がすような現象が次々に生起するにいたっているのです。


いまやガットの標榜する無差別・多角的な自由貿易に代って、差別的・双務的な管理貿易が世界を支配しようとしているのであり、その点ではガットにとっては冬の時代が訪れようとしているのです。


そうしたなかで現在進行しているウルグアイ・ラウンドは一体どのような意義をもち、世界貿易をどのように方向づけようとしているのでしょうか。

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