現代短歌と西行

和歌を通しての文化交流といってもいいでしょう。


そのひとりの使者の役割を西行の旅は結果として果たしているのです。


わたしたちの場合の旅が、自分としては楽しみであり、慰めであるとしても、観光地の人々にとっては生活を維持してゆくものとなっていることがあるようなものでしょう。


西行にとっては自分の内面的繁による旅であったとしても結果として、都の文化を地芝隻てゆく場を作る
ことになっているのです。


そしてそれは、西行にも影響を与えずにはおかなかったであろうと思われます。


現代の歌人にとって、西行にかかわる作品はかなりあります。


『西行の世界』には、近代文学における西行の受容として、幸田露伴・北村透谷・佐藤春夫たちのほか、九人の現代歌人の作品一首ずつをあげています。


その九人とは、斎藤茂吉・太田水穂・窪田空穂・尾山篤二郎・吉井勇・土屋文明・岡野直七郎・川田順・宮柊二たちですが、歌集を調べてゆけば、ほとんどの歌人が西行について一度は触れているであろうと思われます。


芭蕉が西行を尊敬し、ことあるごとに西行に思いを寄せたことはその作品や紀行文からも知られているところですが、芭蕉ほどではないにしても、現代歌人にとっては西行をぬきにして短歌の伝統を考えることはできないのです。


そうした伝統としての問題ばかりではありません。


現実生活のなかで人間らしさを貫こうとするとき、極めて身近かなものとして西行はわたしたちの前にあるのです。

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